食事は生命を維持するためには必要ではありますが、美味しい食事をよく噛み、よく食べることは心身にも影響を与えます。しかし、食べる際に重要な歯を失い、何らかの義歯を使っている方も少なくありません。
当院ではどのような補綴治療も、天然歯にはかなわないと考えております。長くご自身の歯で、好きな物を噛んで食べ続けるためのお手伝いをいたします。
日本人が歯を失う主な原因は、虫歯と歯周病です。2018年に報告された第2回永久歯の抜歯原因調査では、歯周病と虫歯だけで抜歯原因の6割以上を占めています。さらに、年齢が高くなるごとに失う歯の本数は多くなり、2016年に行われた歯科疾患実態調査では、平均喪失歯数が75~79歳は10.3本、80~84歳は12.9本、85歳以上になると17.5本となります。
しかし、年齢を重ねたからといって、必ずしも歯が抜けるとは限りません。虫歯や歯周病などの口内トラブルは、細菌感染によるものなので、適切な口内ケアを行って口腔内を清潔に保つことで、歯を喪失するリスクを軽減させることができます。
虫歯や歯周病などで、1本でも歯を失ってしまうと様々な問題が出てきてしまいます。
本棚にきっちりと収められた本は美しく並んでいますが、本を抜くと、空いた部分と隣り合う本は斜めに倒れてしまいます。歯を失う場合も同様で、たった1本抜けてしまっただけで、隣り合う歯や噛みあう歯が段々倒れてきたり伸びたりしてしまいます。
前歯から奥歯まで歯の形が違うのは、役割に沿ったものになっているためです。例えば前歯なら噛み切りやすい形、奥歯はかみ砕きやすい形となっているので、1本でも抜けてしまうと効率よく食べ物を咀嚼できなくなってしまいます。
歯があることで、言葉を明瞭に発音できるため、歯が抜けたままでいると発音のしにくさを感じることがあります。特にサ行やタ行などの発音が不明瞭になってしまいます。
歯を失うと、歯を噛み合わせることで与えられる顎骨への刺激がなくなり、骨が痩せていってしまいます。また、歯周病に罹患している場合は、炎症によって骨を溶かされるために細くなってしまいます。骨の厚みが減ってしまうと、口元のシワや唇がひしゃげる原因となり、老けて見えてしまいます。
例えば、右の歯を1本失った場合、左側の歯列で物を噛むことが増えると思います。噛み合わせは、絶妙なバランスで成り立っているため、片側でばかり噛んでしまうことで顎のズレが生じたり、顎の筋肉の不調を起こしたり、最終的には顎関節症を起こすこともあります。
いつまでも自分の歯を健康に使い続けるためには、歯の喪失を予防しなくてはいけません。皆様が毎日行う歯磨きなどのセルフケアは重要ですが、どうしても磨き残しが出てしまいます。除去しきれなかった食べかすにより、細菌が活発になり口内トラブルが起きるリスクが高まります。
一生、自分の歯で食事を噛んでいくためには、口内を清潔に保ち天然歯の脱落を予防することが大切です。当院では、最低でも1年に1~2回の定期検診を受けることを推奨しております。定期検診には、プロの手によるケアを受けるだけでなく、口内トラブルの早期発見・治療を行えるというメリットもあります。
ご自身の歯を一生使い続けるのが一番ですが、病気や事故で失う場合もあります。その場合、当院では患者様とカウンセリングを行い、インプラントや入れ歯など、患者様の希望と症状に合わせた治療法をいくつかご提案いたします。